岩波文庫

飲み物

三代目「二才の醸」の味わい

【青木酒造から蔵出しされた三代目「二才の醸」】 ここぞとばかりに日本酒を味わう――。20代の若者だけで造ったという珍しい酒がある。人肌恋しくなる甘さのベースが口に広がると共に、若々しい果実の、その鮮麗とした味と香りが、口腔から喉の底へと落ち...
文学

柳瀬尚紀のユリシーズ

【柳瀬尚紀訳ジョイス著『ユリシーズ 1-12』】 今年の2月、新聞の文化面の書評記事で作家の円城塔氏がこんな書き出しをしていて思わず目に留まった。《まだまだ小さかった頃、同じ本に複数の翻訳版があることに戸惑いを覚えた記憶がある。言葉を正確に...
文学

教科書の中の高村光太郎

音楽における創作活動のうち、【作詞】という分業は、私にとって切実な命題となっている。 あるリズムを伴ったメロディに、言語を織り込んでゆく作業。言語の一片一片の音の形(音韻)、語彙、意味からくるイメージの世界であり、人間の意思や意志、行動、そ...
玩具

三春駒のこと

※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2011年8月9日付「三春駒のこと」より)。※2018年12月13日に加筆修正しました。【中村郷土民芸所作「三春駒と赤ベコ」】《三春駒: 福島県田村郡三春町が販売されている木製の...
文学

『震える盆栽』を読んだ頃

※以下は、拙著旧ホームページのテクスト再録([ウェブ茶房Utaro]2011年2月10日付「『震える盆栽』を読んだ頃」より)。 1991年から93年春にかけて、通学と散策でほぼ毎日、上野・下谷をうろついていた私は、ある日、小さな書店を発見す...